最近のWHOの口腔領域の腫瘍分類について
こんにちは。院長の小野沢です。
本格的な夏を迎え、
うだるような暑さが続いていますが、
皆さま夏バテなどされていませんでしょうか。
夏バテで免疫力が低下すると
歯周病などのお口のトラブルも増加してしまいます。
体調管理にはくれぐれも気をつけて、
暑い夏を乗り切りましょう。
さて、ヒトの腫瘍の組織学および
遺伝子型決定を扱う最新版
『WHO腫瘍分類シリーズ 第5版』の印刷物が
2024年に公開となりました。
これは腫瘍の国際的な標準分類で定期的に改定が行われ、
新たな分子病理学的所見や
臨床的病態が追加されていきます。
口腔外科に関与するのは第5章の
「口腔ならびに舌可動部腫瘍」となります。
前回の第4版では軟組織および神経性腫瘍、
口腔粘膜悪性黒色腫、唾液腺型腫瘍、
血液リンパ性腫瘍は扱われていましたが
今回は別の該当する章に移動し、
内容は非腫瘍性病変、上皮性腫瘍・乳頭腫、
口腔潜在的悪性疾患ならびに口腔上皮性異形成、
扁平上皮癌と組織由来不明の腫瘍のセクションに整理されました。
この中で新たな疾患として
HPV関連口腔上皮性異形成が加わりました。
ヒトパピローマウィルスによる
上皮組織のウィルス性細胞障害を特徴として、
扁平上皮癌への進行リスクを伴う疾患で
従来の口腔上皮性異形成とは
病因や病理が異なると考えられるようになりました。
現在HPV16とHPV18の
喉頭・中咽頭癌の発症への関与が立証されていて、
これら転写活性レベルの高い
高リスクHPVによって引き起こされる
扁平上皮癌に進行するリスクのある
上皮性異形成と定義されています。
好発部位は舌縁、舌下面そして口底とされています。
男性に多く、60歳代で発生率がピークに達するようです。
HPVの強い陽性反応が上皮の厚さ50%を超えた場合、
HPV感染に関連した上皮性異形成とされますが、
見ただけでは診断できないでしょう。
写真は舌に白いものができて
痛みがひかないと言うことで生検したところ、
明らかに悪そうではなかったものの、
病理組織学的には扁平上皮癌であったため、
舌悪性腫瘍切除術施行して、
創部を人工真皮で被覆したところです。
口腔粘膜の病変は確定診断に
病理組織検査が必要となることも少なくありません。
痛みが引かない
なかなか治らない
このような気になる口内炎がございましたら、
ぜひ一度ご相談いただけたら幸いです。
これからも歯学への見識を深めながら、
皆様の健康に寄与できるよう努めてまいります。
久里浜駅前マリン歯科口腔外科
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